ダマスカス包丁について

更新日:2023年5月11日

ダマスカス包丁とは

包丁の母材に、多積層鋼材を用いて独自の模様をつけた刃物製品のことを指します。古代インドのまだら模様が特徴のウーツ鋼(別称ダマスカス鋼)で作られた刃物製品が起源とされ、ダマスカスの呼称は、シリアの首都ダマスカスで製造されていた刀剣などの製品にウーツ鋼が用いられていたことに由来しています。 

ダマスカス鋼について

インドの世界遺産クトゥブ・ミナールにある「デリーの柱」は、ダマスカス鋼で作られた現存する鉄柱。1600年以上経つ現代でも錆びない鉄として有名です。ダマスカス鋼は、古くから優れた鋼材として重宝され、特に刀剣は、強靭さ、錆びにくさ、切れ味の良さ、表面の優美な模様などから高品質な名刀として伝えられてきました。現在のダマスカス包丁は、ステンレス鋼を含め多種の金属を積層鍛造、研削してダマスカス鋼を疑似的に表現したものを表します。 

ダマスカス模様の特徴

ダマスカス模様は、鋼材の層の数と模様により特徴が出ます。職人の手により独自の鎚起鍛造を加えることで、その効果をビジュアルに表現できます。そこには画一的な模様はなく、包丁一本一本の個性となります。ダマスカス模様には、熟練した職人の特殊な技術が必要となり、大量生産ができず希少性が高いことからハイグレードな製品として位置づけられています。

ダマスカス包丁の魅力

長い歴史を持つ包丁ですが、現代では切れ味や耐久性と同じように見た目の美しさに対する関心も高まっています。ダマスカス包丁の魅力は、切れ味が鋭く、耐久性に優れ、錆びにくいというメリットはもちろんのこと、職人の手により生み出される多種多様な柄や優れたデザイン性が最も注目を集めるポイントとなっています。さざ波のような繊細なものから文様を思わせるジャポネスクな柄、そのほか花や花火などをモチーフに表現された特殊なデザインなど、多彩な柄の中から自分好みの逸品を選ぶことができます。


海外のシェフの中には、個性を出すのに欠かせないアイテムとして、ダマスカス包丁を選ぶ方が増えてきています。歴史的な刀の製造技術と日本の伝統的な職人技が生み出すダマスカス包丁は、世界中で人気が高まっています。 

ツヴィリング マーケティング部 監修