蒸し器でさつまいもの美味しさを引き出す蒸し方!甘さアップのコツ

蒸し器でさつまいもの美味しさを引き出す蒸し方!甘さアップのコツ

さつまいもは、料理やスイーツなどさまざまな場面で使える便利な野菜です。甘味が特徴の野菜ですが、その甘味を最大限に引き出すために、いくつかのコツがあります。ここでは、蒸し器で作る甘くて美味しいふかし芋のレシピとコツを詳しく解説します。蒸し器以外の調理器具で蒸す方法や、さつまいもの選び方もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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蒸し器を使ったさつまいもの蒸し方

さつまいもの基本的な保存方法と保存期間

さつまいもをしっとり甘く仕上げたいときは、蒸し器を使ってじっくり加熱するのがおすすめです。必要な道具は、蒸し器のみ。あとはさつまいもと水があれば、簡単に甘味のあるふかし芋が作れます。


《蒸し器を使った蒸し方》

  1. さつまいもは皮付きのまま洗い、汚れをおとす
  2. 大きいさつまいもは、均一のサイズになるよう半分~1/4にカットする
  3. 蒸し器の下段に水を入れ、加熱して沸騰させる
  4. 蒸し器の上段にさつまいもを並べ、蓋をして中火~強火で20~30分蒸す
1.カットした生のさつまいもの場合

①必要な道具と材料

さつまいもを蒸すには、蒸し器が必要です。蒸し器は、蒸し料理を作るための道具で、下段でお湯を沸騰させ、出てきた蒸気で上段に乗せた食材に火を通す構造になっています。油を使わず、素材の旨味や栄養を逃がしにくいため、ヘルシーに調理できるのが特徴です。金属製のものや竹製のせいろなど、さまざまな種類の蒸し器があります。


甘みの多いさつまいもは、皮の色が鮮やかで表面に凹凸が少ないことが特徴です。また、中身がスカスカなものを避けるため、手に取ったときずっしりと重みのあるものを選ぶとよいでしょう。さつまいもから出ている「ひげ根」が固いものは、繊維質で筋っぽい食感である可能性が高いので、避けてください。

1.カットした生のさつまいもの場合

②さつまいもの下処理手順

さつまいもは、皮付きのまま蒸すと栄養を逃さず風味もよくなります。そのため、皮の表面についた汚れをしっかりと洗い落とす必要があります。


《さつまいもを水洗いする方法》

  1. さつまいもの表面についた土を手でこすりながら水洗いする
  2. たわしやスポンジでこすって、細かい汚れを取り除く
  3. キッチンペーパーで水気を拭き取る

水洗いしたさつまいもは傷みやすいため、蒸す直前に水洗いするのがコツです。


さつまいもは丸ごと蒸すのが一般的ですが、蒸し器やせいろに入りきらない場合は、食べやすい大きさに切るのがおすすめです。輪切りや乱切りにすることで火が通りやすくなり、蒸し時間の短縮にもつながります。


輪切りにする際は、皮付きのまま5cm程の幅で切りましょう。乱切りも同様に、やや大きめに切ることで、さつまいものホクホクした食感を楽しむことができます。

1.カットした生のさつまいもの場合

③蒸し器の準備と設定

蒸し器は、2段構造になっています。下段に入れる水は、鍋の5〜7分目程度にします。水の量が少なすぎると十分な蒸気が出ず、美味しく蒸すことができません。水がすぐに蒸発してしまい、空焚きになってしまう危険性もあります。逆に水の量が多すぎると、沸騰した湯が食材にかかって水っぽくなることがあります。


さつまいもは、水が沸騰して蒸気が十分にあがってから上段にのせます。蒸気が出る前にのせると、さつまいもに水滴が付着して水っぽくなってしまいます。火加減は、蒸気が十分にあがるよう中火〜強火で加熱し続けます。蒸発して水の量が少なくなってしまったら、空焚きにならないように途中で熱湯を追加します。


さつまいもを蒸し器いっぱいに詰め込むと、火の通りが悪くなってしまいます。適度に空気の通り道ができるよう、重ならないように並べるのが美味しく仕上げるコツです。

1.カットした生のさつまいもの場合

④蒸し時間と火加減の調整

さつまいもを蒸す時間の目安は、蒸気がしっかり出ている状態で約20〜30分です。これは、丸ごと蒸す場合や、大きめに切った場合の目安で、さつまいもを小さく切るとより短時間で火が通ります。さつまいもの種類や太さによって何分蒸した方がいいかは異なりますので、時々様子を見て竹串がスッと通るかどうか確かめることをおすすめします。


さつまいもを蒸す際の火加減は、中火〜強火です。シューシューと絶えず蒸気が出ている状態をキープすることで、さつまいもに高温の蒸気が当たって中まで火が通ります。鍋の様子をよく見て、蒸気の出方を確認しながら火の調整をしてください。

1.カットした生のさつまいもの場合

⑤完成の見極め方

さつまいもが蒸し上がっているかどうかは、竹串を刺して確かめます。さつまいもの一番太い部分に竹串を刺して、真ん中までスッと抵抗なく刺されば完成です。力を入れないと刺さらない場合は、加熱が不足しています。


一方、蒸し器で加熱し過ぎると食感が悪くなることがあります。蒸し時間が足りなければ再度加熱をすればよいですが、過加熱はもとの状態に戻すことができません。そのため、目安となる加熱時間の少し前に一度竹串を刺して様子を見ることをおすすめします。


丸ごと蒸した時や半分程度の大きさに切った場合は、20分で一度竹串を刺して確認するよいです。1.5cm程度の輪切りの場合は、加熱時間の目安は10分程度です。さつまいもの大きさによって前後するため、過加熱にならないように注意しましょう。

蒸し器を使わないさつまいもの蒸し方

蒸し器を使わないさつまいもの蒸し方

さつまいもは、蒸し器以外の調理器具でも蒸すことができます。それぞれの特徴は以下の通りです。


  • 電子レンジ・・・短い時間で手軽に蒸せる
  • 圧力鍋・・・一度にたくさん蒸せる
  • フライパン・・・手持ちの道具で手軽に蒸せる
  • 炊飯器・・・火加減や水加減を気にせず、入れっぱなしで蒸せる

具体的な蒸し方や、仕上がりの特徴について詳しくみていきましょう。

1.カットした生のさつまいもの場合

①電子レンジで時短調理

さつまいもは、短時間で加熱しようとすると、甘味が出にくくパサパサした仕上がりになってしまいます。電子レンジで蒸す場合は、できるだけ低ワットで時間をかけてじっくり加熱するのがおすすめです。また、電子レンジの庫内は乾燥しやすいため、キッチンペーパーやラップを使って蒸すと美味しく仕上がります。


《電子レンジで蒸す方法》

  1. さつまいもを洗い、濡らしたキッチンペーパーで包む
  2. さらにラップで包む(二重に包む)
  3. 耐熱皿にのせて、200Wで10分加熱する
  4. 竹串がスッと通るか確かめ、通らない場合は追加で30秒加熱して様子をみる


急ぐ場合は、500Wで5~6分加熱することも可能ですが、200Wで10分加熱した場合に比べると甘味が少なくなります。

1.カットした生のさつまいもの場合

②圧力鍋でふっくら仕上げ

圧力鍋を使用すると、蒸し器に比べてやや時間短縮になります。また、大きめの圧力鍋があれば、大きいさつまいもを一度に何本も蒸すことができるので、大量調理に向いています。高圧力でじっくり蒸すため甘みも引き立ち、お菓子作り用に蒸したいときにもおすすめです。


《圧力鍋で蒸す方法》

  1. 圧力鍋に、水と蒸し板を入れる
  2. さつまいもを入れて、強火にかける
  3. 加圧が始まってから、15分程度加熱する
  4. 火を止めて、自然に圧が抜けるまでそのまま置く


圧力鍋の最大容量以内なら、何本でも一度に蒸せます。蒸し時間は本数にかかわらず15分前後が目安です。蒸し板が無い場合は、金属製のザルなどで代用が可能です。

1.カットした生のさつまいもの場合

③フライパンで手軽に蒸す

自宅にあるフライパンで手軽に蒸したいときは、「蒸し煮」で加熱する方法があります。蒸し板を使用せず、少量の湯の中にさつまいもを入れて加熱する方法です。蒸し器や圧力鍋で蒸す場合に比べて、しっとりとした仕上がりになります。


《フライパンで手軽に蒸す方法》

  1. さつまいもをフライパンに並べる
  2. フライパンに、さつまいもが1~2cm浸る程度の水を入れる
  3. 蓋をして強火にかけ、沸騰させる
  4. 弱火にして20分加熱する
  5. 竹串を通して、スッと通るか確認する

フライパンは、さつまいもが重ならずに並べられ、蓋ができるサイズであることが必須です。ある程度深さのあるフライパンか、鍋でも代用できます。

1.カットした生のさつまいもの場合

④炊飯器を活用した簡単調理法

炊飯器で蒸す場合は、途中で火加減や水加減を気にする必要がなく、入れっぱなしで調理することができます。コンロを使わないため、他の料理を同時に作りたいときにも便利です。炊飯器では通常炊飯モードで時間をかけて蒸すため、ねっとりとした食感になり甘味が引き立つのが特徴です。


《炊飯器で蒸す方法》

  1. 炊飯器の釜にさつまいもを入れる(半分に切ってもよい)
  2. さつまいもが半分浸かる程度の水を入れる
  3. 炊飯器の通常炊飯モードで炊く


表面をパリッとさせたいときは、仕上げにトースターで焼くと焼き芋のように香ばしく仕上がります。また、水を少なくするとホクホクした食感に仕上げることもできるので、お好みで水分量を調整するとよいでしょう。

さつまいもを格段に美味しくするコツ

甘くて美味しいさつまいもを楽しむためには、さつまいもの選び方や保存方法、下処理や加熱方法に重要なポイントがあります。特に、さつまいもの持つ甘味を最大限に引き出せるかどうかは、コツを押さえた準備や手順が大きく影響します。ここでは、さつまいもをより美味しく楽しむためのポイントを詳しく解説していきます。

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①ねっとり食感にする低温加熱

さつまいもを甘くねっとりとした食感に仕上げるためには、加熱方法が重要なポイントになります。さつまいもには「β-アミラーゼ」という糖化酵素が含まれていて、この酵素の働きによりでんぷんが糖に変わり甘味が引き出されます。β-アミラーゼは70度前後の温度で最も活性化するため、さつまいもを長時間その温度に維持することで、甘みの素となる糖がたくさん作られて甘味が増します。


高温で一気に加熱すると、70度を通り越して火が入ってしまうため、でんぷんが十分に糖化されず「火は通っているけど甘くない…」という状態になってしまいます。低温でじっくり長時間かけて加熱すると、でんぷんが効率的に糖に変わり、さつまいもの甘味を最大限に引き出すことができます。

1.カットした生のさつまいもの場合

②甘さを引き出す下処理の工夫

さつまいもの甘さを引き出すためには、でんぷんが糖に変化する「糖化」を起こす必要があります。糖化は、上述した加熱のタイミングだけでなく、収穫後の保存過程でも起こります。


でんぷんを分解するβ-アミラーゼの働きは収穫後から始まり、2~3週間程置くことで多くのでんぷんが糖に変わり甘味が増すことが分かっています。この過程のことを「追熟」といいます。さつまいもの場合は、追熟をより効果的におこなうために10~15度の温度で保存することが重要です。


温度が低すぎると追熟が効果的に進まないだけでなく、低温障害を起こして傷みの原因になります。基本的には涼しく風通しの良い場所での常温保存が適していますが、気温や湿度が高い時期は、新聞紙等に包み冷蔵庫の野菜室で保存するのがおすすめです。10~15度で保存しながら追熟を待つことで、さつまいもの持つ甘味を最大限に引き出すことができます。

1.カットした生のさつまいもの場合

③皮つきで蒸すことのメリット

さつまいもの皮には、食物繊維やβカロテン、ポリフェノール、ヤラピンなどの栄養素が含まれており、皮ごと食べることでこれらを無駄なく摂取することができます。このような栄養素を摂ることで、美肌効果や老化予防、便秘解消などさまざまな健康効果が得られます。


皮ごと食べる際は、表面についている土や泥をしっかり洗い流してから調理しましょう。土に含まれるボツリヌス菌やセレウス菌などが、食中毒を引き起こす危険性があります。


また、皮付近に含まれるアクが原因で、苦味を感じることがあります。水に10分ほどさらしてアクを抜くことで、苦味を抑えて食べやすくすることができます。ただし、水に長く浸けると甘味や栄養素も溶け出してしまうため、手早く洗って10分以上漬けないように注意してください。

④美味しくなる品種の選び方

④美味しくなる品種の選び方

美味しいさつまいもを選ぶためのポイントは以下の通りです。


【見た目】皮の色にムラがなく、ふっくらした形

シワがあるものは、乾燥してパサパサした食感になっている可能性があります。ふっくらした形のものは甘みが強いことが多いです。


【重さ】ずっしり重みがあること

手に取ったときにずっしりと重みのあるさつまいもは、中身がつまっていて水分も多く含んでいます。軽いものは、スカスカして乾燥している可能性があります。


【触感】傷やひげ根が少なくなめらか

表面の触り心地がなめらかなものを選びます。ひげ根が多く出ていると、繊維質で硬い食感になります。ひげ根が出ていなくてもポツポツとした黒い跡がたくさんあるものは、病気の可能性があるため避けた方がよいでしょう。


《品種別の特徴》

  • 紅はるか・・・とても甘くねっとりとした食感
  • 安納芋・・・糖度が高く、濃厚な味わい
  • シルクスイート・・・しっとりとなめらかな食感
  • 鳴門金時・・・ホクホクした食感、優しい甘み
  • 紅あずま・・・ホクホクした食感、さっぱりした甘味
  • 紫いも・・・甘さ控えめ、抗酸化作用を持つアントシアニンが豊富

まとめ

さつまいもをおいしく蒸すためには、蒸し方だけでなく、材料の選び方や下処理も重要です。さつまいもが持つ甘みを最大限に引き出すために、ご紹介した加熱方法や手順を参考にしてみてください。


蒸し器がなくても、フライパンや電子レンジなど身近な調理器具で手軽にふかし芋を作ることができます。それぞれの調理器具に合わせたコツを押さえて、さつまいもの美味しさを楽しみましょう。

よくある質問

2.加熱したさつまいもの場合

さつまいもは茹でるのと蒸すのどっちがいい?

さつまいもを茹でるのと蒸すのとでは、仕上がりの状態や食感に違いがあります。茹でた場合は水分を吸ってしっとり仕上がり、冷めてもパサつきにくいことが特徴です。蒸した場合は水っぽくならない分ホクホクした食感になり、時間をかけて加熱する分甘味が引き立ちます。

料理研究家/調理師・食育インストラクター

馬原 香織 監修



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