お弁当を前日の夜に詰める!簡単作り置きおかずで調理師の秘訣

お弁当を前日の夜に詰める!簡単作り置きおかずで調理師の秘訣

忙しい朝、毎日お弁当を作るのは大変ですよね。そこで今回は、お弁当を前日の夜に詰める方法について詳しく解説します。前日の夜に詰める場合、一番気をつけたいのは衛生面です。おかずやご飯の調理法や詰め方、食中毒を予防するコツなど詳しい手順をご紹介するので、お弁当作りの参考にしてください。

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お弁当を前日の夜に詰めるメリット

お弁当を前日の夜に詰めるメリット

早朝のお弁当作りは限られた時間の中で調理する必要があるため負担に感じる方も多いのではないでしょうか。毎朝となると、続けるのが大変ですよね。そんなお弁当作りを前日の夜に詰めることで、下記のようなメリットがあります。



  • 朝の時間が短縮できる
  • 早起きしなくてよい
  • 夕飯のおかずが使える
  • 夜作ることで、手の込んだおかずができる

前日の夜に詰める最大のメリットは、朝の時間に余裕ができることです。お弁当作りのために早起きをする必要がなく、お弁当作りに使用する調理器具等の後片付けも不要です。


また、朝より時間に余裕のある夜に作ることで、おかずのバリエーションが増え、お弁当のマンネリ化も防げます。夕飯のおかずを多めに作ってお弁当にすれば、改めておかずを作る手間が省けます。

朝の調理時間を短縮できる

何品か作ると、料理が得意な人でも20分、30分と時間がかかるのは必須です。


また、お弁当のおかずは衛生上しっかりと冷まして詰める必要があります。朝調理した場合は、作る時間+冷ます時間が必要です。ここでも20分~30分程度時間がかかるため、その分余裕をもって早めに調理を開始しなければなりません。


何種類かおかずを作ればキッチンも汚れるため、後片付けにも時間がかかるでしょう。片付けは後回しにできますが、疲れて帰宅した後、後片付けの残されたキッチンを目の当たりにすると、どっと疲れが増してしまうかもしれません。


前日の夜に詰めることができれば、上記の時間が不要となり、朝の身支度や家事などに時間を使えるでしょう。忙しい毎朝の時間を有効に使うために、お弁当を前日の夜に詰めるのがおすすめです。早起きが苦手な人は、特にお弁当作りを夜に回すことで、翌朝の時間に余裕ができるはずです。

夜のうちに衛生的に調理できる

余裕のある夜に調理することで、食材の中心までしっかり火を入れて加熱調理ができます。お弁当作りにおいて、食中毒を予防することは重要なポイントです。調理の際、食中毒予防のために絶対行っておきたいのが、食材の中心部までしっかり加熱すること。


半熟卵は菌が繁殖しやすいため、お弁当に入れる場合は卵料理の半熟はNGです。ゆで卵や卵焼きは、完全に固まるまでしっかり加熱しましょう。唐揚げや生姜焼きなどのお肉料理も、菌が死滅するまである程度時間をかけて加熱して完成させる必要があります。


調理時間もかかるため、時間に余裕のある夜に丁寧に調理するのも、衛生面では一つのメリットといえます。


前日の夜に詰める際の注意点

お弁当を前日の夜に詰めるメリット

お弁当を前日の夜に詰める際は、調理してから食べるまでの時間が長いために、特に注意したいポイントがあります。


  • 食材の中心までしっかり火を通す
  • 食材の水分をしっかり切って詰める
  • 料理を冷ましてから詰める
  • おかずを素手で触らない
  • 清潔なお弁当箱を使用する


食材の水分が多いと、雑菌が増えやすく傷みの原因になります。野菜等の水気はよく拭き取り、サラダのような水気が出やすい料理は、別容器に詰めるのがよいでしょう。煮物や和え物など水気の出やすい料理は、しっかり汁気を切って詰めます。小分けのカップや弁当箱の仕切りを使用して、他のおかずと触れ合わないようにする方法がおすすめです。

食中毒を防ぐためにできること

お弁当を前日の夜に詰めるメリット

食中毒を防ぐために、できる対策について工程別に詳しくみていきます。


1.食材の購入

 賞味期限を確認すること、肉や魚など生鮮食品は持ち帰る際の温度にも気を配る。


2.保存

 生鮮食品は、帰宅後速やかに冷蔵庫・冷凍庫に入れる。


3.準備

 手や調理器具は、しっかり洗って水気を拭き取る。生肉や生魚の汁が、他の食材にかからないように注意する


4.調理

 食材の中心までしっかり加熱する(中心部を75度で1分以上が目安)。


5.お弁当箱に詰める

 弁当箱をしっかり洗い、水気を拭き取る。煮沸消毒も有効。


6.食べる

 食べる前に手を洗う。


主な食材の保存方法は、下記の通りです。

食材名 おおまかな保存方法
肉類 空気に触れないよう、ラップ等で包んで冷蔵保存
魚類 汁を拭き取り、ペーパーに包んで袋に入れ冷蔵保存
野菜類 乾燥予防のため、袋等に入れて密封し、野菜室で保存
根菜類 新聞紙で包み、冷暗所で保存
梅雨時期や夏場は、冷蔵保存
ハム・ソーセージ類 袋に入れて、冷蔵保存
練り製品(ちくわ・かまぼこ等) 袋に入れて、冷蔵保存

お弁当の前日準備に向く食材選び

お弁当の前日準備に向く食材選び

前日の夜に詰めるのに、適した食材について見ていきます。


●水分の少ない食材

●菌が繁殖しにくい食材


生野菜や汁気の多い煮物のように、水分を多く含む食材や料理は、前日の夜に詰めるお弁当には向きません。十分に汁気を切って詰めるか、朝詰めるのがよいです。菌が繁殖しやすい乳製品や卵料理も、前日の夜に詰めるのは避けましょう。


お弁当用のおかずは、濃いめの味付けにしておくと菌の繁殖が抑えられるだけでなく、冷めても美味しく食べられます。しっかり味のついたハンバーグやきんぴらなどは、お弁当に最適です。カットしたトマトやレタス、もやしのような水分の多い野菜は傷みやすいため注意が必要です。

冷めても美味しい定番おかず5選

ミニハンバーグ

ひき肉にしっかり下味をつけて作ることで、ソースなしで冷めても美味しく食べられます。ソースを添える場合は、翌朝かけて詰めるとよいです。


いんげんの肉巻き

薄切りの豚肉か牛肉に、いんげんを巻いてフライパンで焼きます。味付けは、しょうゆやみりんを混ぜた照り焼き風で、こっくり味に仕上げると冷めても美味しいおかずになります。


鶏の照り焼き

鶏もも肉をフライパンで焼き、しょうゆと砂糖とみりんで味付けする照り焼きは、濃いめの味付けでお弁当におすすめです。タレは煮詰めて、水っぽくならないように仕上げるのがコツです。


にんじんとれんこんのきんぴら

食べやすい大きさに切ったにんじんとれんこんを、ごま油で炒め、麺つゆで味付けします。炒めることで、余分な水分が飛ぶのでお弁当にぴったりです。


マヨ入り卵焼き

卵焼きにマヨネーズを入れると、冷めてもふんわり美味しい卵焼きができます。お弁当用に作る際は、中心部までしっかり加熱して焼きます。

常備菜として活用できる食材

お弁当のおかずとしてはもちろん、普段の食事としても重宝する常備菜。肉や魚なら、調理しやすいものを選ぶとよいでしょう。野菜はお弁当の彩りにもなるため、いくつか副菜として用意しておくのがおすすめです。


ひき肉や薄切り肉は、使い勝手がよく火通りもよいため常備菜に活用しやすい食材です。ハンバーグや肉団子、野菜の肉巻きや炒め物など子どもから大人まで喜ばれる常備菜ができます。


鮭やタラのような白身魚は、焼き物やフライのような揚げ物の常備菜に活用できます。鯖や鰤のような青魚は、煮付けにして常備しておくとお弁当や夕飯のおかずにも活用できます。


野菜

ほうれん草やブロッコリー、にんじんは、彩りがよく常備菜にしておくとお弁当作りにも便利です。和え物や炒め物にして常備しておくとよいです。

避けるべき食材と保存方法

前日の夜に詰める場合、避けておいた方がよい食材は下記の通りです。


生野菜や果物

生野菜や果物は、水分が多く菌が繁殖しやすいため前日の夜に詰めるおかずに適していません。他のおかずと一緒に詰めると、傷みの原因になるので無理に詰めるのは避けた方がよいです。生野菜や果物は、手間ですが別の容器に詰めるなどの工夫をすると安心です。


マヨネーズやタルタルソース

子どもに人気のマヨネーズやタルタルソースも、傷みやすく菌が繁殖しやすいため前日の夜に詰めるのはおすすめできません。他のおかずと一緒ではなく、別添えで持参するとよいです。

傷みやすい食材の見分け方

傷みやすい食材を見分ける方法は、水分がポイントです。水分が多い食材は傷みやすいので注意しましょう。お弁当に入れやすいおかずの中から、傷みやすい食材と気をつけるポイントを詳しく見ていきます。


煮物

煮汁のある煮物は、傷みやすく、特に夏場のお弁当には注意したいおかずです。お弁当に入れる際は、十分に詰めて煮汁を飛ばし、さらに煮汁をしっかり切って詰める工夫をするとよいです。


生野菜

お弁当の彩りにかかせない野菜ですが、レタスやきゅうり、カットしたトマトは傷みやすいので要注意。トマトを入れるなら、カットせずに入れられるミニトマトがおすすめです。緑色が欲しいときは、加熱し味をつけたほうれん草のナムルや胡麻和えなどがよいです。


ゆで卵や卵焼き

卵は、半熟の状態で長時間置くと、サルモネラ菌が付着しやすくなり食中毒の原因となります。お弁当に入れる場合は、しっかり火を入れるのが鉄則です。


どの食材も、傷んでしまうと変色したり変な臭いがしたりします。お弁当箱を開けて、様子がおかしい場合は、傷んでいる可能性があるので食べずに廃棄してください。

前日に詰めるご飯の正しい扱い方

前日に詰めるご飯の正しい扱い方

ご飯は、基本的に冷蔵庫での保存には向きません。冷蔵庫で保存すると、水分が抜けてパサパサになってしまいます。一度パサパサになってしまったご飯は元に戻らないため、できればご飯は朝詰める方がよいでしょう。また、常温での保存期限は数時間なので、夜詰めて翌日の昼まで常温保存で持たせるのはおすすめできません。


どうしても事前に詰めて持参したい場合は、冷蔵庫で保存します。冷蔵庫での保存期間は、消化吸収を考慮して半日~1日程度にした方がよいです。多少パサつきますが、あまり気にならない場合は、前日の夜に詰める方法も可能です。


チャーハンや炊き込みご飯などは、白米に比べてパサつきが気になりにくいので、前日の夜に詰める場合は白米以外のご飯を詰めるのもよいでしょう。

失敗しない炊飯の水加減

美味しいご飯を炊くためには、水加減はとても重要なポイントです。お米を正確に量り、お米の量に対して適切な水を加えて炊くのが基本です。お米の量に対して、水は2割増し(1.2倍量の水)が基本分量です。目分量では美味しいご飯を炊くのが難しいので、正確に計量しましょう。


米1合は180mlなので、適切な水の量は180×1.2=216mlとなります。2合、3合の場合も、同じように米の量を2倍3倍にして、1.2倍を掛けると水の量が計算できます。


無洗米の場合は、水の量を1.5倍で計量するとよいです。無洗米は、米ぬかが除かれている分普通米に比べて米の割合が高くなるため、水の量を増やす必要があります。

お弁当の保冷テクニック

お弁当を前日の夜に詰めるメリット

お弁当を気温の高い環境に置くと、細菌が増えて食中毒のリスクが高まります。そのため、なるべく温度が上がらないように工夫する必要があります。ちなみに、温度が20度以上になると傷みやすくなるため、20度以下、できれば10度以下になるよう保てると安心です。


保冷剤を活用する

保冷剤を1つ入れる場合は、お弁当箱の上にのせるとよいです。保冷剤がいくつかある場合は、上下左右に挟むと効果的です。


保冷バックを活用する

保冷剤が解凍されるまでの時間を長く保つために、お弁当箱を保冷バックに入れて持参します。


冷凍したペットボトルと一緒に入れる

お弁当箱を保冷バックに入れる際に、冷凍したペットボトルやゼリーなどと一緒に入れる方法もあります。

保冷剤の正しい使い方

冷気は下に流れる傾向があるため、保冷剤はお弁当箱の上にのせると効果的です。気温が高い日や持ち歩き時間が長いときは、保冷剤を複数個入れると保冷効果が長持ちします。

また、保冷剤をのせたお弁当箱ごと、緩衝材のプチプチで包む方法もおすすめです。プチプチが外気を遮断するため、保冷剤が溶けにくく、冷たい状態が長持ちします。


保冷剤は溶けてくると水滴が出てくるため、事前に布やビニールで包んでおくとよいです。また、保冷剤は食材に直接触れると食材が凍ってしまう可能性があるため、食材に直接触れないように置くのもポイントです。

料理研究家/調理師・食育インストラクター

馬原 香織 監修



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