赤池:今後5〜10年後、サステナビリティに対してどのようなテーマを設けていますか?

赤池美結/Miyu Akaike
2024年12月よりABCサステナテーブルに参加。
アンドリュー:ずばり6つのチャレンジを設けています。
1:サステナブルな素材と製品の※トレーサビリティ
特にアメリカから来ている流れですけど、今後もっと強化されます。Webなどで原料の工場が可視化されていくと思います。
※トレーサビリティ
「その製品がいつ、どこで、だれによって作られたのか」を明らかにすべく、原材料の調達から生産、そして消費または廃棄まで追跡可能な状態にすること。
2:環境にやさしいミニマルパッケージ
パッケージなど完全に脱プラスティック。ナイフの梱包に関しては、日本のみ採用しているのが、キッチンタオルを梱包材にしているサービス。これ、付加価値となっていますよ。
3:循環型経済:修理、再利用、回収
ナイフリサイクル、ストウブの中古再販売はもちろんですが、これは先ほどお話しした3世代の包丁のように品質を高くすることで、長く使っていただくこと。
4:カーボンフットプリントとグローバル物流
できるだけ飛行機を使わず、大きなコンテナーで、小ロットで頻繁ではなく大ロットで頻度を減らす。この辺りのバランスを追求していく必要があります。
5:エコ志向の消費者への対応
関心を持つ人の声を拾っていき、企業がエコ対策を実施していかなければならないですね。
6:ESG対応と明確な情報発信
規制、ルールがどのように変わるか、今日の段階ではわかりませんが、ヨーロッパでは2027年にフッ素製造が全面禁止、販売禁止になる。日本はまだ報告されていませんが、間違いなくそのような規制が行われると考えています。
※ESGとは:企業が持続可能な成長を目指すために、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)の3つの観点を重視した経営や投資の考え方
上記6つのチャレンジを、現時点では6〜7割は成し遂げられているけど、もっと達成度を上げていきます。
逆に私から皆様に質問があります。サステナビリティに興味をもったきっかけはなんですか?
加賀谷:私は高校時代にパン屋で働いていたのですが、飲食店でのフードロスの現実を目の当たりにしました。そこから食に関する環境問題に興味を持って色々調べるようになり、しだいにその現実を人にも伝えたいと思うようになりました。ネガティブではなく、ポジティブにどう伝えるかを考えています。
アンドリュー:フードバンクはまだ日本では少ないですよね。Z世代においてサステナビリティの意識が高いのはなぜですか?
赤池:私たちの世代は小学校でサステナビリティの教育を受けているので、他の世代より意識が高いと思います。マイボトル、マイバックを持っているし、サステナビリティへの取り組みは社会に貢献している達成感につながります。
アンドリュー:ファストファッションなどからのイメージでサステナビリティへの意識がそれほど高くないと思っていました。私ごとでいうと、日本の過剰包装をなんとかしたい。果物を無駄に個包装している。日本はクレームの声に弱いから99%が承諾しても、1%のクレームがあると前例がないということで現状維持となる。どこかで誰かがリーダーシップをとらないとだめですよね。意識必要! 最後の質問ですが、今後こういった活動を通じて伝えたいことは何ですか?
内田:今は学生が主体となって、Z世代の人にプラントベースや料理を通してサステナビリティを伝えていきたい。ドイツに留学していたことがあって、その時に地球を守るために何ができるかということへの意識が高くなったのですが、サステナビリティしかないと思いました。より多くの人に伝えて、地球を守る活動をしてほしいと思っています。
アンドリュー:ひとりだと影響が少ないですから諦めがち。実際に環境を守るために何をされていますか?
内田:古着の活用、リサイクル。ドイツで経験したような徹底的なゴミの分別を日本でも改善していきたい。
アンドリュー:素晴らしい。エコバックも今は日常になりましたよね。ツヴィリングも40店舗で持ち帰りの袋を有料にしました。今では70%の人がエコバックを使っていますよ。これにはびっくりしました。
内田:国によってサステナビリティへの意識は異なりますか?
アンドリュー:ヨーロッパは意識が高いですね。エネルギー問題もですが。アメリカは関心が高い人と関心がない人との派閥がありますね。
内田:ツヴィリングの会社の中ではどうですか?
アンドリュー:それは面白い質問ですね。ドイツ本社のwebサイトではサステナビリティの活動、方針をしっかり書いています。新しい人を採用するためにも意識の高い人を採用したいという目的があります。そういう人が入社することで、長く働いている人も関心が高まっていますよ。今日は楽しいお話ができてよかったです。ありがとうございました!